飯盛山【長野県南佐久郡南牧村】



再び八ヶ岳の麓へ―。


AM07:18発『あずさ51号』に乗り、2時間12分で小淵沢に到着。
車内の放送では満席で予約完売だったようだが、隣の席は小淵沢に着くまで空いていた。
おかげで広々、トイレにも行きやすくて快適だった。

都内ではちょっと雲が多めだったが、小淵沢に着く頃には青い空が広がってきた!


小淵沢からは『小海線』に乗り換え、『清里』駅を目指す。
初めはガラガラだった車内も、あっという間に人でいっぱいになった。
乗客は登山スタイルの人はあまりいなかったが、それでも結構人が多い。


清里駅には、AM10:30に到着。
空気がキン、として気持ち良い。まさに高原といった感じだ。
もっと早い時間に来たかったのだが、登山計画中にすでに一つ前の特急『スーパーあずさ』は予約が埋まっていたため、この時間となった。
そして、新宿駅ではその自由席号車もデッキが人でいっぱいになっているほどだったのでこれで良かったのかも。

昨年11月もこの清里がスタート地点で西へ向かったが、今回は東へ向かう。
駅前のロータリーを抜け、登山口を目指す。
しばらくは車道沿いの道を進む。

途中、川の流れる音が聞こえてきる。
『千ヶ滝』があるという事なのだが、寄っていく時間はなさそうなので、そのまま通り過ぎる。


民家の間を抜けると、登山口。
なぜかバスケットゴールがあるので、ちょうど良い目印かも。

ここからようやく登山道らしくなってくる。
登山口から、左手を眺めると八ヶ岳が見える。でも、後の楽しみにしておくために、じっくりは見ない!(笑)


40分ほどで視界が開け、そこからは頂上の姿を眺めながら進む。
右手を見れば、遠くに富士山が。あちらのほうも今日は天気が良さそうだ。

もう目の前は飯盛山全体が見える。
奇麗にご飯を盛ったように見える事から『飯盛山』・・・と見た目まんまだが、まさに『山』という形で、奇麗なシルエットだ。

頂上に到着!
標高1,643m。

西を見れば八ヶ岳が裾から裾までそして富士山、南アルプス、秩父連峰、浅間山までも見える大パノラマ。
360度青い空をバックに山々の姿を眺める事ができる。

清里~野辺山あたりとなると、そもそも標高が高いので、この高さでも駅から1時間で来れてしまう。
鎖場やロープも必要ない、杖もいらない。

ちょうど昼となったので、ここで昼食をとり始める人達も増えてきた。
狭い場所だからそれほど人は多くないが、大抵の人達はここから少し下がった所にある広場で昼食をとっているようだ。

眺めは非常に良いのだが、周りを囲む木々などが全く無いので、風が冷たくて寒い!
だから皆写真を撮ったらすぐに下りてしまうのだ。

でも、僕はここで昼食。陽が当たっているので、大丈夫だ。
それにしても、この雄大な景色を眺めながら食べられるなんて、とてもシアワセな気分だ!

食べ終わって落ち着くと、さすがに寒くなってくる。
小海線の『野辺山』駅を目指すため、移動開始。

飯盛山を下りた場所から右手に進むと、すぐお隣の山『平盛山』(標高1,633m)だ。
ここからならば、飯盛山の形がさらに分かりやすく撮れる。
しかもその向こうには富士山も。

こちらは頂上が平らなので、食事するなら便利だと思うが、なぜかあまり人は来ない。

景色を楽しんだ後は、先ほどの分岐から帰り道途中すぐにある『平沢山』(標高1,653m)。

後はずっと下り坂。展望はあまり良くない林の中を進む。

車道に出ると、『平沢峠』。
このすぐ近くにむき出しの岩が立ち並ぶ、『獅子岩』がある。
シルエットが獅子に見えるから、ということだが、家族連れが遊んでいて撮影はできなかった。

このまま車道を通るのも良いが、ガードレール脇に林の中を進む事ができる歩道があるので、
アスファルトの道より自然の中が良いのでこちらを進む。

ちょっと気づきにくいのか、もう車道を行った方が楽だからか、誰も来ない。
先ほどまで聞こえていた人々の声も聞こえなくなり、とても静か。

こちらも車道に出る。平沢峠からの道との合流点まで行くと、野辺山駅まで続く太い道がある。
この道をしばらく進むと、山からも見えていたパラボラアンテナのある『野辺山宇宙電波観測所』だ。

見学コースがあるので、早速行ってみる。
入り口で住んでいる都道府県と人数を書くだけで、無料だ。
『電波』望遠鏡の施設なので、携帯電話を持っている人は電源を落として下さい、と説明を受けるので、電源を落としてから見学開始。

すぐにパラボラアンテナがいくつも現れる。ここで宇宙からの微弱な電波を拾って、宇宙の謎を解明する。
ロマン溢れる。

一番奥に、その中で最も大きなアンテナが天空に向かってそびえ立っている。
そのお椀の直径は45mとデカい。
なんだかSFの世界のようだ。

敷地内にはレールが引かれていて、それぞれのアンテナを移動できるようだが、動いている様を見てみたいものだ。想像するだけでも、なんだか『ひみつきち』ぽくてワクワクする。

そろそろ午後3時。もうあまりゆっくりはできない。
施設内には他にも見学できる建物などもあるのだが、残念ながら見て回ることはできない・・・。

帰り道の左手の広い空間には、小さいアンテナが無数に立っている。それらがいっせいに同じ方向を向いていて、なんだか可愛らしい。

施設を出ると、さきほどの太い道を通ってあとは野辺山駅を目指すだけ。
その途中は広い畑があり、ここで高原野菜が作られている。

40分ほどで、今回のゴール地点、『野辺山』駅に到着。
ここが日本で一番標高の高い場所にある駅だ。

最高地点はここから清里と野辺山の中間地点にあり、1,375m。
次の列車まで1時間はあるのだが、行ってみてさらに清里までの歩行時間を読めなかったので断念。

だいぶ陽も傾き、八ヶ岳の頂上は雲がかかってしまった。
近くの公園で時間つぶしとストレッチをしていたが、どんどん気温は下がってきて、あっという間に10度を切ってしまった。

公園内には過去に使われていた蒸気機関車『C56』が保存されている。
もう動かす事はないだろうが、野辺山高原をSLで旅する事ができたら良いのに。

清里駅もそうだったが、商店街などはシャッターが下りている所が多かった。
シーズンではないから、早めに閉めてしまっているのではなくてもう休みに入ってしまっているのだろうか。おかげで駅周辺は閑散として寂しい感じ。せっかくだから賑わった場所で旅の終わりにしたかったが、仕方ないか。

さて、列車がやってくる時間だ。
乗り込む人の数は少ない。
対向の列車が遅れているとの事で少し待たされたが、無事やってきてこちらも出発することができた。
降りてくる人達は多かったので、駅周辺のホテルに向かう人達なのだろう。

小淵沢駅に着く頃には6時近くとなり、辺りはもう真っ暗。
清里の駅からはだいぶ人が乗ってきたようで、寸の間、小淵沢の駅ではだいぶ賑やかになっていた。
ここで東京に戻る、あるいは松本方面に旅人たちは分かれていく。

特急券も無事購入できて、後は座席でゆっくりするだけ。
車内販売がやってきて、コーヒーを注文している間、他の土産品のメニューを見ると、おもちゃの中に『E257系あずさチョロQ』があった。
行き帰りに乗っているこの車輛のおもちゃなのだが、実は以前から欲しくて探していたのだが、ネットではすでに在庫切れでもう入荷予定もなさそうだった。
メニューには書かれていても、もう既にないかもしれないと思いつつ販売員のおばちゃんに聞いてみると、ありますよ、と何か他のおもちゃとは違うファイルの中から取り出して見せてくれたので、これだ!と思い、躊躇無く購入決定!

そういえば、販売員がおばちゃん、というのは珍しいような。大抵は若い女性なのだが。
若いスタッフだと受けは良いだろうけど、素っ気無い感じで僕にはあまり良い感じを覚えた事はなかったが、おばちゃんはおそらくベテランなのだろう、落ち着いた感じに好感を持てる。

旅の最後で欲しいものが手に入って、おばちゃんには感謝したくなったが、その後の販売にはもう回ってくる事はなかったが、途中駅で交代になったのだろうか。

(了)