常総市2015.9.23〜11.28【茨城県常総市】

関東鉄道常総線

2015年9月9日から11日にかけて発生した豪雨災害、“平成27年9月関東・東北豪雨”。
災害ボランティア活動に参加した際のあくまで個人目線の日記、雑記、備忘録です。

災害発生後、常総市では『常総市災害ボランティアセンター』が発足。
当初ボランティアは車での集合のみを受け入れ、その他の交通機関では参加する事はできませんでした。
しばらくしてから、茨城県水戸市に本社を置く『石塚サン・トラベル株式会社』によるボランティアバスが用意され、NPOなどの団体に属していない者でも参加する事ができるようになり、応募しました。

9月23日(水): 沖新田町おきしんでんまち
沖新田町の2軒のお宅。
南北に縦長の常総市、浸水エリアとしては南部。ビニールハウスはほぼ水没し、その跡が見られた。
向かう途中の国道、県道も泥が乾いて薄い茶色の路面となっていた。周囲は水田で、風に乗って腐臭が漂っていた。

1軒目はまだ家自体が建て替え(?)からの築年数はそれほどでもないのか、きれいなので、今後も住み続けられるようにするために床や家具の掃除だったが、2軒目は昭和風情の漂うお宅で、既に床板は剥がされ床下の泥は出された後のようで、後は使えなくなった家具などを全て運び出す作業となった。
お隣は住み続けるが、こちらはご主人が取り壊しを決めた…。

土のう袋には、小学生達が描いた応援イラストメッセージ。
でも、よく見ると福島に宛てたもので、いわき市のスパリゾート・ハワイアンズをイメージしたのか、椰子の木とフラを踊る人の姿が描かれていた。
東日本大震災の時に茨城の小学生達が送ったものを、今度は福島から送ってきたのだろうか…?

この週は連休(シルバーウィーク)となって、ボランティア活動者数は1日に3000名を超えたという。
23日は連休最後の日であってか、残念ながら1830名にまでその数は落ち込んだ。
鬼怒川
沖新田町
沖新田町
沖新田町
土のう袋に描かれたメッセージ
拠点となったJA常総ひかり水海道低温倉庫
9月27日(日): 水海道みつかいどうサテライト、水海道淵頭町ふちがしらまち
この時までは公共交通機関+徒歩での参加は受け入れられなかったが、25日に『水海道サテライト』ができた事により、関東鉄道常総線・水海道駅から歩いて5分程度の市民の広場で受付が始まった。

朝はなんだか怪しげな天気。つくばエクスプレス・守谷駅に着くと、少しパラついていた。
水海道淵頭町のお宅1軒に16人で向かう。大人数なので始めは驚いたが、そのお宅は自宅・工場・経営しているアパートがあるため、その人数となった。
3つのグループに分かれ、工場内に入るとフォークリフトが泥にはまり、すでに使えなくなっていた。
工場内の泥出し、使えなくなった資材の運び出し。

グループ内は中部、関西方面から来た方が多かった。
1人の青年は、警察官になるための試験を受けるために上京し、試験が始まるまではボランティアに参加するため、しばらく前から常総市に入っていたとの事。あれから結果はどうなったのだろう?
水海道サテライト
水海道サテライト
関東鉄道常総線・水海道駅
関東鉄道常総線・水海道駅
守谷駅
9月30日(水): 水海道橋本町はしもとちょう
『水海道サテライト』に向かうには、最寄り駅から京浜東北線に乗って秋葉原駅へ。秋葉原からつくばエクスプレスに乗り、守谷駅へ。守谷駅から関東鉄道常総線に乗り、水海道駅で下車となる。
自宅からはおよそ2時間で着く事ができるので、しばらくは通い続けてみる事にする。

関東鉄道常総線は『電車』ではなく『気動車』。そのため、座席の下からはエンジン音が聞こえてくる。
この近くでは、千葉県にも小湊鐵道こみなとてつどう、いすみ鉄道が同様で、久しぶりに聞くエンジン音とその響きが懐かしい。
常総線は取手とりで駅から下館しもだて駅を結び、取手駅ではJR常磐線、守谷駅ではつくばエクスプレス、下館駅ではJR水戸線と真岡鐵道もおかてつどうに接続する。
取手から水海道までは複線となっていて、気動車同士がすれ違う所を見られる珍しい路線でもある(小湊鐵道といすみ鉄道は単線)。電化されていない路線にもかかわらず、とても本数が多いのでボランティアに通いやすいのが嬉しい。

9月30日の時点では、常総市内における鬼怒川きぬがわ堤防決壊等の被害により、水海道駅から下妻しもつま駅までは運行を見合わせていた。
そしてこの日から同区間で代行バスの運行が始まった。

この日の作業場所は水海道橋本町の独居老人宅。
元教師のおばあさんは足腰が弱り、元教え子が心配して来てはいるものの、その方も高齢。
床上浸水となり、すでに畳をあげて床板は剥がされ、土砂はある程度出してあるので、その続きの作業。
一部床板剥がしの残りがあったので、剥がして泥をかき出す。床板剥がしは初めての経験。
残念ながら、全ての作業は完了せず、次のボランティアの方たちに継続依頼を出してもらう事となった。

このお宅の周囲は、水田地帯に流れる『八間堀はちけんぼり川』と『新八間堀しんはちけんぼり川』があり、どちらも過去の開発によって作られた排水路。
鬼怒川と小貝川こかいがわにそれぞれ流れる形となっているが、逆流を防ぐために水門を閉じた事により出口を失った水があふれ、床上浸水を引き起こす事となった。

おばあさんのお宅の庭には、水田から流れてきたと思われる稲が大量に残されていた。
水海道駅から代行バス
10月4日(日): 若宮戸わかみやど
二度目の『石塚サン・トラベル株式会社』によるボランティアバス。
守谷駅で集合の後、『石下いしげサテライト』に向かう。294号線を北に向かうと、水田地帯の中になぜか城が見えてくる。
『石下サテライト』はその近くにある常総市役所・石下庁舎の駐車場。お城は庁舎なのではなくて、『地域交流センター』だそうだ。
思わず宮城県亘理町のJR常磐線・亘理駅を思い出す。

いくつかのグループに分かれ、さらにここから『たま地区ミニサテライト』に向かって依頼主の詳細情報を聞く。
依頼主宅はニュースでも話題になった越水地点の“ソーラーパネル”がある『若宮戸地区』。
初めての床下潜り。初めてだったので、足りない装備は借りて挑戦。
少し前はボランティアには床板剥がしや床下潜りはさせていなかったそうだが、この頃になるとやらせているとの事。もちろん、経験者および志願者のみなので、無理やりではない。

床下は“ベタ基礎”で底はコンクリートでできている。
越水地点が近いという事もあって、床下の泥は乾いていない。断熱材も散らばっている。
泥はある程度スコップなどでバケツに入れて運び出し、細かいところは大きなスポンジに吸い込ませ、絞りだす。
その後はホースで水を送って底面を綺麗にする。高圧洗浄機は無し。
この時のメンバーはやや体格が大柄の人が多く、床下に入りづらいスペースもあったため、僕が代わりに入らせてもらった。

その日の夜は筋肉痛。
玉地区ミニサテライト
若宮戸のお宅にて
工事中の圏央道
倒れたままのガードレール
10月7日(水): 三坂町、水海道サテライト閉鎖、ボランティアセンター移転
この2日前に『水海道サテライト』が閉鎖となり、水海道駅から歩いて15分程度の場所にある、常総市社会福祉協議会隣の敷地へ移転となった。
これにより、ボランティアの受付はこの一箇所に集約された事になる。

歩いて向かう途中のコンビニは今日営業再開されていた。

送迎バスで数十名、上三坂公民館に設営されたサテライトへ向かう。
上三坂公民館は鬼怒川の土手のすぐそばにあり、決壊地点も目の前。

いくつかのグループに分かれ、今回はリーダー役。
山口県から単車で駆けつけてくれた青年、長野の消防団の方などがいた。
公民館からは歩いて依頼者宅へ。その途中の道はニュース映像でよく流れていた、屋根上で救助を待つ人、濁流の中、電柱にしがみついて救助を待つ人、流される事がなかった“ヘーベルハウス”の近く。
田畑は泥が積もってほぼ乾いた状態だったが、この日は風が強くて土埃が大量に巻き上がっていた。
災害発生から約一ヶ月経つが、流された家屋が転がっている、少し遠くには傾いたままの家屋など、あまり進展していないようだった。

依頼者宅では継続作業でまだ残っている床下の泥出しと庭の片付け。
水が引くのは割と早かったということだったが、それでも床上浸水。1階は使えないため、2階で生活をしているとの事だった。
営業再開したコンビニ
常総市ボランティアセンター
沖三坂
沖三坂
10月9日(水): 水海道淵頭町ふちがしらまち
前回一緒に活動した方と再会、水海道駅近くのとある事務所内の清掃。
昼休み中、すぐ近くの踏切の音が随分長く鳴っているのでなんだろうと思ったが、運行を見合わせていた水海道駅以北の試運転が行われていた。
明日10日より本数は減るものの、前線運行再開となる。
山口県から来た青年は、別れ際は苦手と言って泣きそうな顔をしていた。今日が常総にいられる最後の日という事で、単車に乗り、故郷へと帰って行った。
ボランティアセンターでのマッチング中の様子
試運転中の常総線
10月14日(水): 相野谷町あいのやまち
床板剥がし、壁剥がし。
常総線・キハ314
水海道駅
10月19日(月): 水海道橋本町
製麺工場内の倉庫(物置?)の清掃。
工場部分はすでに何度かボランティアが入っていたため綺麗になっていたが、再び麺を作る事ができるのがいつになるのかは分からない…。
清掃を行う箇所は四畳半と押し入れと狭いが、自宅と工場を優先していたため、泥が詰まったまま畳や床は腐り、悪臭がしていた。

この頃になると、顔見知りが増えてくる。
複数回同じグループになる事もあるが、実は東北から通っている方もいる…!

この日のボランティア参加数は300名を切ってしまっていた。
常総線・キハ318
常総市ボランティアセンター
解散前の片付け、消毒の様子
常総市ボランティアセンター
10月21日(水): 小保川おぼかわ
床下潜りで消石灰巻き。
水海道天満宮例大祭のポスター
水海道駅
水海道駅
常総線車内から望む
床下潜りに使ったヘルメット
10月25日(日): 原宿
アパート2室の床下潜りで泥出し。開口部が押入れにしかなく、非常に狭い。
既に乾いた状態なので、複数人が入ると土煙でモウモウになる。
早めに終わり、消毒は1人で行う事になったので、残りはすぐ近くにある洋ラン、観葉植物、鉢花などを扱う大きな園芸店のビニールハウス内の清掃に入った。

ボランティアセンターの隣には『水海道天満宮』があり、今日は例大祭が開かれていた。
災害後、各所で中止になったお祭りも多いだろうから、開かれている所を見るとちょっと安心する。
水海道駅
水海道天満宮
常総市ボランティアセンター・ニーズマップ
常総市ボランティアセンター
常総市ボランティアセンター
水海道天満宮例大祭
水海道天満宮例大祭
水海道天満宮例大祭
常総市ボランティアセンター
10月27日(火): 若宮戸
側溝の泥出し。範囲は狭いけれど4名では足りず、継続のお願いをして終了。
以前伺ったお宅が遠くに見えていた。
若宮戸での泥出し
10月30日(金): 十花町じゅっかまち
リーダー役の方が情報を得て向かった、外観としてはとても古く見えるお宅の床板剥がし。
素人目には、再建を諦めるようにしか見えなかったけれども、床板は全て再利用するという事で、丁寧に剥がしてリーダーにより元の配置図を残して終了。
水海道駅
常総市ボランティアセンター
常総市ボランティアセンター
11月3日(火): 本石下もといしげ
壁の汚れ落としと広い庭の砂利の洗浄。
ご主人もカメラ好きで、PENTAX67を持っていた!
気になっていたボランティア活動証明書をもらってみた。
水海道駅
ASAHI PENTAX
PENTAX67
石下サテライト
水海道駅
ボランティア活動証明書
11月5日(木): 若宮戸
1軒目は食器の運び出し。2軒目は床下潜りで泥出しと『オスバン』での消毒まで行った。
いつも帰りは荷物が多い事もあって、何かを買って帰るような事はしなかったけれど、守谷駅にある物産店『守谷すたいる』で守谷市や常総市の農家の方たちの作った野菜の販売が行われていたので白菜を買ってみた。1玉170円と安く、いつもよく作る白菜とベーコンのスープにしてみたら美味しかった!
常総線車内の運賃箱
守谷すたいるで買った白菜
11月11日(水): 小保川
前回知り合ったボランティアコーディネーターの方と、3人で床下潜り。
泥出しはほとんど終わった状態だったが、根太ねだなどにはまだ少し残っていたため、それらを除去した後、消毒。

翌週の16日からは、ボランティアセンターの活動が縮小されるという情報が入る。
水海道駅
筑波巻
11月13日(金): 本石下
ベタ基礎の床下、木製の床束ゆかづかではなく、鋼製束こうせいづかが無数に林立する、まるでジャングルジムのよう。
乾いた泥がチョコレートのような形で乾き、総勢10名での除去。今まで常総市で経験した中で最も広く、大人数での作業。
言葉は悪いけれども、この状況はワクワクしてしまうものがある。中には戦争映画の一場面のようだと言っていた人も(笑)

週末は天気が悪くなるという事で、早めに個人ボランティア募集中止の情報が発表された。
それにより、本日がボランティアセンター活動縮小前の最終日となった。

ボランティアセンターに戻る前に、メンバー全員で県道357号線沿いにある『春子屋だんご店本店』『ゆたかや製菓』に寄って、『石下だんご』をお土産に買っていった。

今回は以前お会いした方々と作業をし、ボランティアセンターに戻ると、また以前にお会いした方々とも再会して、活動縮小最終日となった今日にふさわしい感動のエンディング(?)だった。

帰りはまた『守谷すたいる』に寄って、漬物と『やまこみそ』を購入。水海道の廣田さん(お会いした事はないけれど)の漬物が美味しい!
店員さんが災害ボランティアの存在を知っていたのが嬉しい。
常総市ボランティアセンター
常総市ボランティアセンター
水海道駅
守谷すたいるで買った漬物
11月24日(火): 本石下
『常総市ボランティアセンター』が『地域支えあいセンター』と運営体制が変更になり、災害ボランティア活動は土日のみとなった。
少し気が緩んだのか体の調子が悪くなり、参加は見送った。

今回は平日も募集、活動を行っているNPO団体に参加。
初めて水海道駅より北にある、『玉村』駅で下車。駅の近くは、以前伺ったお宅が何軒かある。

『いしげ結城つむぎ』の糸を作る工場と自宅の間の泥清掃。

昼休みに近くにある寺、『興正寺』を散歩。

帰りはまた『守谷すたいる』で漬物を買って帰った。
玉村駅
玉村駅
玉村駅
玉村駅の待合室
興正寺
興正寺
興正寺
興正寺
興正寺
興正寺
守谷すたいるで買った漬物
11月28日(土): 若宮戸、新井木町あらいぎまち
『地域支えあいセンター』と運営体制が変更になってから初の(久しぶりの)参加。
若宮戸では、家の前の道に積もった泥の清掃。周りがほぼ水田でありほぼ手付かずの状態が続いているため、時折悪臭が漂ってきた。
新井木町では障子や襖の運び出しと清掃。

小貝川が近く、依頼者宅のご主人によると、ニュース映像で流れた巨大なポンプと極太のホースでこの辺りの水を戻したそうだ。

帰りの守谷駅はイルミネーションでクリスマスムード。
夕焼け空の向こうには、富士山が見えた。
水海道駅
筑波山
常総市ボランティアセンター
ニーズマップ
倒れたままのガードレール
障子、ふすまの洗浄
水海道駅
水海道駅
守谷駅
守谷駅から富士山
クリスマスイルミネーションの守谷駅
クリスマスイルミネーションの守谷駅

2015.12.10

(了)

◆ Google+フォト
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