戦場ヶ原【栃木県日光市】


思い出の中にある戦場ヶ原の景色は、背の高いススキの穂が生い茂る広い広い湿原。
日光と言えば、関東(南部)の小学校の修学旅行としてよく使われるコース。
もうあれから26年も経ってしまった。

新宿から『日光1号』に乗って日光へ。
新宿から日光へは、東武鉄道の『スペーシア』があるのだが、新宿からだとこの『日光1号』(JRの車両)が朝イチの列車となる。
今年の夏から車両が変更されたのだが、これは元々『成田エクスプレス』として使われていたもの。
前の席との間隔が広いため、かなりのびのびとした感じ。快適だ。

新宿から埼京線、東北本線に乗り入れ、栗橋から私鉄である東武日光線に乗り入れて、『東武日光』駅に至る。

平日なのと、元々新宿から日光に向かう客が多くないのか、車内はガラガラ。
池袋、赤羽、浦和、大宮の通勤ラッシュを横目に列車は通り過ぎる。

大宮を過ぎてしばらくすると、ビル群は無くなり、ずーっと田畑の広がる平地を進む。
東武日光線に乗り入れてからも、そんな風景が続く。

ようやく遠くに山並みが見えてくる。そして東武日光駅に到着。
新宿から約2時間。

東武日光駅はJRの日光線の駅もすぐ近くにある。
だったら、同じJRを通れば良いのに、とは思うが、JR線のみの経路を考えると遠回りになってしまうのだろう。

事前に調べたバスの時刻表だと、あと2分で発車してしまう。次は約30分程度後だが、この時点で9時30分。『湯元温泉』には1時間半くらいはかかるので、時間がもったいなくて急いでバス停へ。

『湯元温泉』は、中禅寺湖から直線距離で4、5km北ににある湖『湯ノ湖』近くのバス停。
そこから、南下して途中戦場ヶ原を通って、中禅寺湖まで戻るというのが今回のコース。

平日だけど、バスの座席はもう一杯。でも立ち乗りとまではいかない。
一番後ろの長い席のど真ん中という、右の景色も左の景色も微妙に見づらい場所ではあるが、正面は見やすいので案外良かったかも。

ちなみに、バスはICカード(Suica、PASMO)が使えるので、あらかじめ少し多めにチャージしておくと便利だ。

『いろは坂』を上がりきると、中禅寺湖が見えて来る。
できれば『華厳の滝』も行きたいところだが、景色を車窓から眺めて過ぎる。

『竜頭ノ滝』を過ぎると、『戦場ヶ原』が見えて来る。
バスの中から見えるだけでも、おお、来たんだ!と胸が躍るが、ここまで歩いて戻るまで楽しみにとっておく事にする。


湯元温泉に着くと、そこは『湯ノ湖』。
ここまで来るのに、ほとんどの乗客は降りてしまった。

さて、ここからがスタート。

湯ノ湖を西から半周回ると、そこには『湯滝』があるので、まずはそこを目指す。
遊歩道がある、と思ったらいきなり途切れてホントにここだよね?と言いたくなるような薮の道を入ると、再び遊歩道が続いたので、一安心。


半周回る間、湯ノ湖を見るととにかく水がきれい。

しばらくすると、板で作られた遊歩道が続く。
林の中はひんやりして気持ち良い。
途中立派なハルニレの巨木があり、そっと手を触れてみる。

滝の音が聞こえて来る。
ここが『湯滝』。

ここで少し早めに昼食。
写真は無いが、注文したのは『ちたけそば』。
『乳茸』と書くが、きのこである。
栃木の郷土料理だそうで、椎茸などのような弾力は無く、変わったぼそぼそとした食感。

エネルギーを充填したところで、出発。


先ほどの『湯滝』の流れに沿って林の中を通って行く。
水が透き通っている。
滝のように常に新鮮な水が勢い良く流れて来るので、滞留することなくきれいなままなのだろう。




分かれ道。
ここで『戦場ヶ原』と『小田代ヶ原(おだしろがはら)』に向かうコースに分かれるのだが、どちらも南下すれば合流する。
ならば、まだ行った事の無い方を行ってみようとも考えていたので、『小田代ヶ原』に向かう。

林の中を進む。明るいけれど、空が葉で覆われて見えない。
湯ノ湖、湯滝で見た空が奇麗だったので、もっと空を見られるコースなら良かったのだが、まあしょうがない。

開けた場所に出ると、湿原地帯に沿って歩道が続く。


『男体山(なんたいさん)』が見える。

少し先に、湖が見える。湖・・・?

水没気味の遊歩道。
どうやら、台風12号の影響でいつもなら”湿原”なのが湖レベルで水がいっぱいになったらしい。
ここまで水でいっぱいになるのは珍しいそうだ。

そして、この湖と化した一帯が、『小田代ヶ原』。
向こう岸(?)に見える、『草原の貴婦人』と呼ばれる1本の白樺の木。

ガイドブックなどでは、朝もやの中にたたずむ姿が幻想的。
でも、今日のようにここまで水だらけだとちょっと違う・・・。

カメラを構えている人達が多いが、三脚を立てられないので、苦労しそうだ。

『小田代ヶ原』を後にして、『戦場ヶ原』に向かうため、林の中を進む。
また空は葉で覆われて空が見えなくなる。



しばらく進むと大勢の子ども達の声が聞こえてくる。
修学旅行か遠足か。

大はしゃぎしている声が後ろからも迫ってくる。
せっかくの静かな空間を台無しにされてはイヤなので、少し歩を速める。

やっと『戦場ヶ原』に合流する道まで来て、早速遊歩道を進む。

『戦場ヶ原』。
男体山が裾まで見える。

残念ながら、子ども達が付近で大騒ぎしているため、あまり景色を楽しむことができなかった・・・。



そろそろ午後3時。
後は『竜頭ノ滝』を見て帰る事にした。

『竜頭ノ滝』から、中禅寺湖まではそんなに時間はかからない。
中禅寺湖近くのバス停、菖蒲遊覧船発着所で時刻表を見るとあと10分くらいで東武日光へ行くバスがやってくる。
その間に、湖畔まで行って少しだけ湖の景色を楽しんだ。

やってきたバスの中はガラガラ。
『いろは坂』を下り、東武日光駅に到着。
東武鉄道の『スペーシア』で新宿ではなく浅草まで行き、浅草から上野に出て帰ることにした。


(了)