伊師浜海岸【茨城県日立市】



常磐線『日立』駅から、海岸線に沿って『高萩』駅まで歩く。
あらかじめ自作した地図を見ると、およそ20kmの道のりとなる。


上野駅から特急『スーパーひたち3号』に乗る。
登場から既に20年以上経っている651系の車内は少々古く感じる。
新型車輛であるE657系に全て置き換わるという事だ。

午前8時34分、日立駅に到着。

1時間半で日立駅に到着。速い!
GPSの速度を見てると、100kmを超している区間が多いので、直線距離なら近いはずの千葉県銚子よりも早く着いてしまう。

日立駅自体にも目的があるのだが、これから5、6時間は歩く事になるので、最後の楽しみとしておく。

海岸口の階段を降りて、まずは海岸線を通る日立バイパスを平行して進む。
途中は日立の工場の間の道を進む事になる。


工場地帯を抜けて海のそばまで来たが、波が高い。晴れ間は見えているものの、雲も多い。風もある。
まあ、ピーカンだと歩き続けるのはつらいだろうから、この位だとちょうど良い。

海に出る遊歩道を示す看板があり、行ってみる事にする。
その途中、小さな洞窟のようなものがあり、そこを覗き込むとこんな風に水の表面が金色に光っているのが見える。

これは『ヒカリモ(光藻)』と呼ばれるもので、自身が発光するのではなく、光を反射しやすい構造となっているらしい。
夜間はおそらく光って見えないのだろうけれど、この小さな洞窟内は周りの壁が照らされて見えているので、本当に光って見える。


遊歩道をさらに進むと、『グミ島』と呼ばれる岩の固まりを見る事ができる。
ここで朝日と一緒に撮影できたら良さそうだ。

遊歩道を戻り、先に進むと公園に出る。特に眺めが良いわけではないので、さらに進むと、砂浜に出てそのまま進めると思ったのだが、波が打ち寄せてしまっているので断念。元来た道まで戻る事になった。



『塩釜神社』と書かれた鳥居があり、地図ではその先が『高磯』と呼ばれる突端がある。
現在地点は他よりも高い位置となっているので、もしや眺めが良いのではと思いながら進が、神社と行っても社があるわけではなくて、祠のみ。
海側に出る(降りる)道も無さそうなので、あきらめて先に進む事にした。

坂を下ると、『小木津海岸』さらに進み、『川尻港』、『川尻海水浴場』へ。


海水浴場の先は崖で遮られているので、国道に出て進む。
思ったより交通量が多く、とにかく排気ガスが煙い・・・。
歩道があるのでビュンビュンとスピードを出してくる車、トラックなどをギリギリで避けるような側道を歩かずに済むのは良いが、あまり人が通らないためか、背を超える雑草がぼうぼうだ。

この国道の途中から海岸に出て『海鵜渡来地』に行けるようだったが、排気ガスにあてられて気分も良くなかったので、そのまま国道を進んで道の駅だろうか、『十王物産センター鵜喜鵜喜(うきうき)』で一休み。

ここからは排気ガスとはおさらばで、海もすぐ近く。

『伊師浜海岸』に出た。
右手(南)には国民宿舎『鵜の岬本館』が崖上にあり、そこからの家族連れがいただけで、左手(北)は誰もいない。
小木津海岸ではサーファーの姿も見かけたが、それすらもいない。


丁度昼となったので、ここでご飯を食べることにした。と言ってもコンビニのサンドイッチだが。

浜辺は砂地ではあるが、テトラポッドだらけ。
昨年の地震とは関係なく、それ以前からの波による浸食を防ぐためのものだが、自然な姿ではないのが残念だ。


太平洋を眺めながらの昼飯。
空はもう夏では無く、少し寂しい感じもする。

2kmくらい歩いただろうか、途中からは砂浜は完全に消えて、コンクリートに変わってしまった。


予定では、この先の川まで進むつもりだったが、護岸工事なのか大型のトラックやクレーンなどが停まっている。
仕方ないので、少し手前で国道に戻り、川を渡ったあとにまた海側に戻りる事にした。


国道はさらに交通量が増えていて、早く海側に戻りたかったが、通行止めや通って大丈夫なのかどうかもわからない施設などが邪魔をして行く事ができない。
とうとう高萩市に入ってしまい、左手にはJRの線路が見えてきた。このまま国道を通って高萩駅に着いてしまうのではないだろうか、と思ったところでようやく海に出られる道を見つけた。

『高浜海岸』。
『伊師浜海岸』とは違って、幅の広い砂浜が続く。西側には住宅街。
ここでは散歩をする人達の姿もある。
住宅街がすぐそばだからだろうか、あまり面白みの無い景色。

『有明海岸』がそのまま続く。
今回は超えない、先にある崖が水蒸気で煙っている。



こちらもあまり面白みの無い景色。
そんな感じで1kmほど歩いたところで、住宅街に入り、ゴール地点である高萩駅を目指す。

駅は海岸から500mくらいしか離れていないので、迷う事も無い。

午後2時44分、高萩駅に到着。

可愛らしい駅舎。だが周辺は特に何もない。
マクドナルドがあるような賑やかな場所ではない。
事前に駅周辺で銭湯を探していたが見つからなかったので、べとつく体を濡らした手ぬぐいで拭いて少しだけサッパリとした。

高萩駅は特急は停まるが、数は少ない。
なので、日立駅まで普通電車で戻り、そこから特急に乗り、上野に戻る事にした。

普通電車に乗って、約15分で日立駅に到着。
日立から高萩まで歩いて6時間もかけていたのに、電車ならたった15分・・・。




初めに「日立駅自体にも目的がある」と書いたが、それはこの駅舎がガラス張りで大変カッコ良くて見たかったからなのである。

妹島 和世(せじま かずよ)という建築士のデザインしたものだそうな。

建築に詳しいわけではないので、「カッコいいから見たかった」という感想しか浮かばないが、こういう空間をデザインできるというのはとても素敵な事だ。

さらに、駅舎の東端には喫茶店があり、そこも全体がガラス張りなのだ。

『SEA BiRDS CAFE』
それが店の名前だ。

太平洋を見ながら、コーヒーとフレンチトーストを頂く。

こんかいは少々残念な天気だったが、冬の乾いた蒼い空と海を見に、またここで眺めるのも良いかもしれない。


帰りの特急列車がやってくる時間となった。
今度は『フレッシュひたち56号』。

E653系は1997年に登場との事で、15年は使われている事になるがそれでも内装はきれいで明るい空間だ。

水戸を過ぎるくらいから、窓の外の道路は雨で濡れていた。

さあ、次はどこを歩こう・・・?
(了)