田園風景【福島県双葉郡広野町】


若い稲が心地よい風にたなびく。


今回は広野町を歩いてみた。
いつもは海を目指して歩く事が多かったけれど、今回は少しだけ内陸側を目指す。
駅から30分ほど歩くと、国道6号線の西側に水田が広がっているのが見え始める。
ここが今回の目的地。

米作りを自粛していた福島県広野町では、この春3年ぶりに田植えが始まった。
農業を営んできた方達にとっては、待望の年となったことでしょう。

梅雨の時期とは思えない爽やかな風がとても気持ち良い。

周りを木々に囲まれた道を進む。

全てが田植えを行われたわけではないようで、ところどころ休耕中か、これからの場所もあるようだ。

この道を進めば、広野町役場方面。
それとは逆の方向の、切り通しを進む。

視界が開けると、再び水田が見えてきた。向こうには火力発電所の煙突。

その煙突とは逆方向に道があるので進んでみた。

水田の一角にホタルブクロが咲いていた。
この花を見ると、夏の始まりを感じさせてくれる。
ここだけかと思って周りを見てみると、群生していた。

少し山間の道となり、進んで行くと、ウグイスの鳴き声が聞こえるようになってきた。

とても静か。

鳥たちのさえずり、風に揺れる葉音だけが聞こえて来る。
ここまで来ると、国道を走る車の音もほとんど聞こえて来ない。

広野町は駅から海は近いし、少し内陸側を歩くだけでこんなに緑豊かな場所にやって来られる。

まだまだ道は続き、もっともっと先を見に歩きたくなる。
この先は常磐自動車道のそばまで行く事ができるようだが、そこまで行く時間は無い。
また今度来た時の楽しみにしておこう。

どうせなら、五社山登山したいな・・・。

来た道を戻る。

このあたりでは『天のつぶ』という福島オリジナルの品種を育てているようだ。
どんな味だろう?
さすがに買って持ち帰るのは大変だろうから、今度ネットで注文してみよう。
もしかしたら、東京駅近くのアンテナショップでも買えるかな?

時折、ポツリと雨粒を落ちてくる。でも今日はそれほど天気が崩れる事は無さそう。
振り返ると雲が大きく広がり、先ほど通った道の向こうに五社山が見えていた。
秋になり、ここが黄金色の大地となる事を想像しながら、水田を後にした。

二ツ沼公園まで行こうかとも思ったが、海も見たくなったので、駅方面に戻り、途中以前にも足を運んだ『松本稲荷』まで行く事にした。

松本稲荷の階段下も、雑草だらけ。
境内で少し休憩をさせていただいてから、そこからすぐの海岸へ。


ちょっと・・・いや、結構波が高く、破壊された波消しブロックを飛沫が超えてくる。
工事中なので先には進むつもりはないけれど。

それにしても、美しい海の色。

福島では久ノ浜、広野、楢葉、富岡、宮城では亘理、浜吉田を歩き、いずれも美しい海の色を見て来たけれど、これが黒い波となり、襲って来たことすら嘘のように思えてしまう。

こうして目の前には破壊された防波堤があり、瓦礫が残されていても・・・。

電車の時間も迫ってきたので、広野駅へ戻る事にする。

そういえば、以前よりも人の姿を見るようになった気がするけれど、まだまだ町に戻って来ている人たちは少ないままのようだ。

広野駅から南側を見てみると、畑は雑草だらけ。

昨年11月の時は草を刈って、除塩を行い、おそらく土も掘り返した後だったように見えたが、その後畑及び水田として復活はまだできなかったのかもしれない。

いつの日か、今日見た水田のようにこの場所も・・・!

久ノ浜へ。

東地区のこの場所は雑草が増えただけであまり変わってないようだったが、浜辺には波消しブロックを運ぶための道ができていた。

浜風商店街に行ってみると、なんだか賑わっている。

今日は午前中にツアー客でいっぱいになったそうだ。
午後もこれから市原商工会議所の復興支援視察研修という事で、しばらくすると大勢の人達がやってきた。

そういえば、『ようこそ!浜風商店街へ!』の横断幕の裏側に、市原商工会議所の名前が入っていた。
浜風商店街の設立時から関わっていたのでしょう。

あっというまに中央の通路は人でいっぱい!
今までも、全国各地から多くの商工会の方達が訪れたようだ。

これからも多くの人たちがここに訪れてくれますように・・・!

(了)