広野町サマーフェスティバル



“心ひとつに 広野町”

「久しぶり!」

祭りの会場のあちこちからそんな声が聞こえてきた。



午前11時半、広野駅前では祭りの準備が行われていた。

『広野町サマーフェスティバル』

2011年は震災により、2012年は『広野町復興祈念花火大会』として行われ、今年は3年ぶりの開催となったそうだ。

祭りの開始まではまだ時間があるので、その間に行っておきたい場所があったので祭りの始まりとなる午後3時までにはここに戻ってくるつもりだ。その場所についてはまた後日にて。


午後3時を過ぎた頃、ステージからは三線の音色が聞こえてきていた。


勿来工業高フラ愛好会、通称“勿工フラ愛好家”によるステージ。
今月25日には、いわきにて『フラガール甲子園』に出場するとの事。
“フラガール”と言うからには女の子達、という事になるが、この学校からは男の子達も出場。
他の出場校には無い試み、という事になるのだろうか?なんだかそれだけで一つドラマか映画にできてしまいそうな気がする。


『広野町昇龍太鼓』による演奏。力強い演奏が体に伝わって来る。

この頃になると、会場はずいぶん人で賑わってきて、あちこちで「久しぶり!」という声が聞こえてきた。
きっとこの日のために、バラバラになって避難した先から集まって来たのだろう。
ここに来ればまた昔みたいに花火を皆と一緒に見られる。
そんな想いがあったのかもしれない。


九州から応援に駆けつけてくれた子ども達。
広野駅から3つ先の『富岡』駅も見学に行って来たそうだ。彼女達が今回見た事、聞いた事を九州に戻ってからもきっと色々な人に伝えてくれるのだろう。


『スパリゾートハワイアンズ』から今度は“プロ”によるフラ。
震災当時、広野町から避難した方々を受け入れていた事からその繋がりは強くなっていたそうだ。


町長のあいさつ。
東京にいては分からない、町の人々との強い繋がりを感じさせてくれた。

午後7時。『音楽花火』の始まりだ!
花火を撮影する事自体初めてで、練習もせずにいきなりぶっつけ本番でバルブ撮影。
架線が入っていて花火画像としてはダメダメなのだろう・・・。
音楽や歌に合わせ、次々と花火が打ち上がる。
本数は少ないが、常磐線が駅に入ってくると、またちょうど良いタイミングだったりするので、『花火とのコラボレーションです!』とのMCに会場の人達は爆笑(笑)

その常磐線は、2013年8月現在もここ広野駅がいわき、水戸、上野からの終点となっているが、来春にはここから2つ先の『竜田』駅までを復旧させる事が発表された。

この日、東北では14カ所で花火が打ち上げられた。
多くの人達が今この夜空を見上げていた。

2年5ヶ月も経った、2年5ヶ月しか経っていない。
先はまだ見えない。
でも、今夜ばかりは皆笑顔。

大切な人、大切だった人の事を想いながら、
未来へ進む。

“心ひとつに”。

花火が終わると、駅前では納涼盆踊り、そして駅の南側では“灯火”が夜空を舞っていた。

祭りは終わりを迎え、皆帰ってゆく。

午後8時51分、いわき行きの最終列車。
また来年の『サマーフェスティバル』を楽しみにしながら、帰路についた。

(続く)