木戸駅から東へ

『広野町サマーフェスティバル』が始まるまで、3時間以上あったので、その間に以前気になった場所へと向かった。




気になった場所とは、広野駅から一つ先の『木戸』駅の東側に見えた海だ。
4ヶ月前、富岡駅に行った帰りに木戸駅には寄ったものの、疲労と足の痛み、そして『避難指示解除準備区域』である事から滞在時間も限られているため断念していた。

6号線を北に進む。『Jヴィレッジ』を超えると下り坂となっているが、あまり人が通らない事もあって雑草が伸び放題。

『道の駅ならは』は、GoogleMap上でも『双葉警察署臨時庁舎』の表記となっていて、道の駅として復活はまだまだ先の事だと思い知らされる。
以前もそうだったが、この辺りから6号線を通る車の種類が変わってくる。
観光旅行などでも使われる大型バスの往来はあるが、客は乗っていない。
あくまで復旧作業に関わる人たちの送迎用のためであるだろうから、行き先や団体名なども無し。当然ガイドさんらしき人の姿も見えない。

6号線を逸れて、木戸駅方面への県道に入る。
踏切を渡ると雑草が路側帯を覆ってしまっている。

家屋はなるべく撮影しないようにしたので、ここには無いのだが、『あの時』のままである事はこの地域も一緒だ。

木造の平屋の建物は向こうの景色が丸見え。
割れたガラス、破れた布団、庭先には潰れた車・・・。
川には重機が落ちたままになっていた。
土台だけを残した姿となっている場所も、多い。

踏切から歩いて15分も歩かないで堤防までたどり着いた。
堤防が破壊され、ここもまた波が超えて来た事が分かる。

ここに住んでいた人たちは逃げる事はできたのだろうか?

堤防の脇には番号が付けられたフレコンバッグが並ぶ。

そろそろ木戸駅に行こうかと思った時、バイクに乗って来た人がいた。
大阪から来たそうで、これから南相馬での花火大会に行くという。
おそらく富岡町での検問で止められてしまうだろうけれど、迂回してたどり着く事ができただろうか?
以前には船で北から南へと進んで来たこともあったそうで、そうやって被災地を巡る方達も多いのだろう。

僕はバイクを持っているわけではないので分からないのだが、ツーリングをする人たちにとっては6号線は便利、または魅力のあるコースなのかもしれない。

木戸駅へ行く途中、警察(消防署)の方達が堤防まで見回りにやって来た。
ご苦労様です。この付近の話をもっと聞いておけば良かったな。

草ぼうぼうの中に赤い車があるので、先ほどの見回りの人たちが留めたものかと思ったが、そうではなくてひしゃげたまま放置されているものだった。

木戸駅に行ってみると、線路脇に以前には無かったフレコンバッグが並んでいた。
常磐線は、2013年8月現在も広野駅がいわき、水戸、上野からの終点となっているが、来春には木戸駅の次の『竜田』駅までを復旧させる事が発表された。そのための準備が始まったのかもしれない。

上野から仙台へ続く鉄路の復活が待ち遠しい。

水をソフトボトルに入れ、凍らせて持って来ていたが、もうすでに溶けて量もあまり無い。
猛暑日も続いていて、帰り道に飲む分を考えると、そろそろ限界が近い。

さあ、広野町へ戻ろう。
(続く)