海風が校舎を駆け抜ける。
5月に訪れた山元町へ再び。
今回はとある会社で募集していた災害ボランティア活動に参加して、山下駅すぐ近くにて農地整備を行った。
朝6時半。
前日は東京駅をバスで10時に出発し、ここ山下駅へ到着。
さすがに4、5ヶ月程度では変わった様子は無いように思えたけれど、駅の近くにはごく最近に植えられた花々が咲いていた。他のボランティア活動の方々によって植えられたものだろう。
これからオリエンテーションがあり、9時から活動開始となる予定を聞いていたが、少し変更があり、神奈川県のボランティア団体と合流して、ここから南にある小学校を見学する事になった。
『山元町立中浜小学校』。
海からすぐ近くにあるこの学校では、当時屋上へ避難した事によって児童全員が助かった。
前回亘理を歩いた事で分かったが、平地がどこまでも続き、高台となる場所が少ない。
警報が発令されれば、その時は見えていなくても津波に備えて、とにかく逃げるしかない。
校舎に入らせて頂いた。
中浜小学校は、今年3月31日に閉校となった。だが、この校舎の保存は決まったという事だ。
避難場所となった屋上へ。
海が近い。
きっと子ども達にとっては良い遊び場となっていた事だろう。
救助が来るまで、この狭い屋根裏で児童、職員は過ごしていたそうだ。
先ほどの屋根裏には、タイムカプセル。
10年後、全員がここに集まって、開く。
その頃にはこの辺りの景色も、きっと変わっている。
大人になった子ども達の笑顔が、きっと戻って来る。
小学校から少し南にある、『唐船番所跡』から海を望む。
堤防工事はまだまだ続く。『鳴き砂』を踏みしめるのはいつの事だろうか…?
これから山下駅へ戻り、農地整備の開始となった。
前日までの天気予報ではこれから雨になるようだったが、作業の終わりまで晴れている事になった。
作業では、土中の少し大きめの石を掘り出すものだった。
大阪、九州からのチームは、学生さんがほとんどであったので、若い分スタミナもあり、作業が速い!
中年メンバーの多いこちらは少々気圧されながらも、怪我も無く無事作業を終える事ができた。
整備した場所は決して広いとは言えない範囲だ。この地域全体の割合で言えば本当に小さな場所でしかない。
それでも、少しづつこうして前に進む。
いつかきっと、笑顔の人達が戻るように…。
(了)