富岡とみおか町から楢葉ならは町へ【福島県双葉郡富岡町/福島県双葉郡楢葉町】

復旧工事中の富岡駅

福島県富岡町、楢葉町の3月11日。

今年もまた福島県いわき市久之浜で行われる追悼式に向かいましたが、その前にいつものように、富岡町、楢葉町を歩いてきました。

富岡町は現在も帰還困難区域、居住制限区域、避難指示解除準備区域を含み、2017年4月1日に帰還困難区域を除いて解除されます。

楢葉町は2015年9月5日に避難指示が解除されました。1年半経った現在も、帰還者は2割に満たない状況です。


自宅の最寄駅から青春18きっぷを使って、上野から水戸へ。水戸で乗り換えていわきへ。
今回は荷物多めであるため、一旦いわき駅を出てロッカーに荷物を預けてから、再び常磐線に乗り、竜田たつたへ。
車内アナウンスでは、行き先を「富岡方面」に変更されていました。
いわき駅
車窓からは昨年ともまた違う景色が見られました。
広野駅では、東側に通じるための歩道橋が新たに作られ、沿岸部も海が見えないほどに防災緑地帯が出来つつあるように見えました。
広野駅
高野病院。
平成28年12月30日夜間の火災により院長高野英男が死去された事で、一時的にではありますが、新聞やニュースなどでとりあげられた事で知られる事となり、この地域の医療機関がここにしかないという現実の厳しさと問題を突きつけました。

お知らせ:高野病院病院長死去につきまして (2017-01-03) | 医療法人社団養高会 高野病院
http://takano-hosp.jp/topics/webdir/13.html
高野病院
広野町火力発電所の煙突
木戸駅から沿岸部
竜田駅を降りると、とても乗客が多かった事にちょっとびっくり。
駅前広場には、列車代行バスが2台待ち受けていて、乗り込むとほぼ満席の状態。
今年2月1日より、列車代行バスは浪江(浪江町役場)での停車に加え、2月16日からは富岡駅(旧エネルギー館前)でも停車するようになりました。

旧エネルギー館前に停車し、降りますが、どうやら1人だけの様子。この日は富岡でも人が多く集まるかと期待していただけに、少々残念な気持ちでした。
乗客の方々には花束を抱えてる姿も見られなかったので、追悼式に向かわれる目的では無かったのかもしれません。
富岡川に架かる橋
降車した場所は双葉警察署がすぐ近くでもあるため、昨年と同様に『岡内東児童公園』のパトカーの献花台に花を供えさせて頂きました。
去り際にも、この場所に訪れる人の姿がありました。富岡の方たちかはわかりませんが、このパトカーで避難誘導中に津波に襲われたお二人の存在が記憶に残り続けているであろう事に、少し安心のようなものを感じました。
岡内東児童公園
岡内東児童公園
岡内東児童公園
岡内東児童公園
列車代行バスは、次に富岡にやってくるのは、17:55。さすがにそれを待つつもりも無いので、いつも通り竜田駅には徒歩で戻ります。

双葉警察署間交差点には複合商業施設『さくらモールとみおか』がオープンし、ホームセンターとして生活用品なども豊富に揃えられていました。
時間があまり無いのでゆっくり見ることはできませんでしたが、フードコートもあるという事で、次回来ることができたら食事をしていきたいところです。

仏浜ほとけはまの交差点を目指す途中にはコンビニもできて、国道6号線のこの一部だけでもずいぶん空気が軽く感じられるようになりました。
さくらモールとみおか
富岡は負けん!
富岡は負けん!

昨年は動物の死骸も見かけました。

交差点を曲がり坂道を下ると、富岡駅の復旧工事現場が見えてきます。
昨年更地化が進んだ後には、駅前ロータリーが出現し、新たに作られる駅が以前より少しだけ北に移動する事がよく分かりました。
復旧工事中の富岡駅
ロータリーには報道陣の姿がありました。

富岡の海
富岡の海が美しい…。

国道6号線に沿って植えられた桜
国道6号線に沿って植えられた桜

国道6号線を歩き、太田の交差点を曲がると、竜田-富岡間の常磐線の復旧工事が進んでいる光景がありました。
10月には運転再開という事で、また少しづつ上野から仙台への鉄路が繋がりつつあります。
竜田、富岡間の線路の復旧工事
竜田、富岡間の線路の復旧工事
少し歩くと、第二原子力発電所に向かう交差点があり、角には『ぼらぐち商店』があるのですが、解体工事中の様子。お店を再開するための工事なら良いのですが…。
ぼらぐち商店
福島県道244号小塙上郡山線こばなかみこおりやませんは楢葉町と富岡町の境を通り、国道6号線と並行し、第二原子力発電所を横目に(見えるわけではありません)、緑豊かな森の中を通る道です。

いつもはこの道を往復歩く事になっていましたが、列車代行バスが富岡に停車する事になって、今回は片道だけの通行となりました。

道の両側の崖にはふきのとう、木々には新芽、枝には昆虫のさなぎ。春の訪れを感じさせます。
夏にはヤマユリが咲き誇りますが、今日は法面の工事が数カ所あり、土が剥がされたことでもしかしたら今年はあまりたくさんの花を見ることはできないのかもしれません。
楢葉町に戻ると、またいくつかの家屋が更地となって無くなっている所もあり、いくつかは工事の拠点となるプレハブが建てられていた所をみると、元々の家主さんが土地を手放したのかもしれません…。
龍田たつた神社近くの踏切も景色が変わり、草に埋もれ、錆びついた線路ではなく、新しいバラストとなって富岡方面が開けつつあるのが分かりました。
龍田神社
龍田神社
境内はすぐ近くを線路が通り、その工事車両を置くためか囲んでいた木々が少し無くなり、スカスカとした印象となってしまいました。
龍田神社
龍田神社
竜田駅
竜田駅・富岡方面
竜田駅
竜田駅
竜田駅からいわき方面の列車は、昨年のダイヤ改正から11:31から14:24までの3時間近く無くなってしまったため、タクシーでの移動です。


現在も住民のほとんどが避難したままとなっている楢葉町。
その隣町であり、原発から20km以上離れた場所である広野町も全町民の約半数が戻って来ない・来れない状況にあります。
避難解除された地域はニュース等のメディアで取り上げられる事は少なくなり、次第に人々の関心から遠ざかってしまいます。
多くの人に“今の姿”を見て欲しい、見る事は難しくても、忘れずにいてほしい。そう願っています。

2017.3.11

(続く)

◆ Google フォト
https://goo.gl/photos/pXZGma3JYVpuovPz6