帰還困難区域の内側より―。
《2017年12月9日(土)》
常磐線・富岡駅が営業を再開してから既に1ヶ月以上が過ぎ、12月。
その間も数回富岡町、浪江町、川内村へと向かいました。
冷え込む朝、富岡駅に併設されている、コンビニ&飲食店『さくらステーションKINONE』で暖かいコーヒーを頂く。窓から見える朝日、きれいになった駅を眺めながら、5年前に見た景色を思い出す。
『あの後』にこうしていられる事が、とても不思議に感じます。
この日の活動は浪江町の帰還困難区域にて、あるお宅の庭木の伐採。
スクリーニング場で身分証の提示、必要事項を書いた後、積算型の線量計と手袋などの簡易防護グッズをもらってから、ゲートを超えました。
帰還困難区域であり、線量が高い事もあって活動時間は5時間という制限付き。
家主の方は現在、ご家族とともに宮城県に避難されていて、浪江に来る回数も減っているという事でした。
家そのものは綺麗に見えたので聞いてみると、ネズミは多かったもののイノシシなどには荒らされなかったそうです。
でも、すぐお隣は空き巣に入られ、家財を盗まれたとの事…。自然界に起きた事は仕方ないですが、人の手、悪意によるものは悲しい限りです。
作業中、冷え込んでくると思ったら雪が舞ってきました。
初雪を浪江町で迎えるとは…。
積もる事はないにしても、山はすっかり煙っていました。
昼休み中に少しだけ周囲を散歩。
この辺りは独特な色合い、そして形をした『相馬焼』の窯が多くあるそうです。
道路を挟んで左右の景色が違うと聞き、今回はゲートの『内側』にいるのだという事を実感しました。
5時間の制限となり、ゲートの外へ。
積算の線量計が示す値は7マイクロシーベルト。車の中に置いていた方、つまり遮蔽物があっての数値は4マイクロシーベルト。
除染が行われていない事もあって、この数値。
いずれ除染の範囲もさらに広がっていくのでしょうが、それでも既に6年と9か月が過ぎ、7年近くとなります。
浪江に戻る事をあきらめている方々も増えていくのでしょう。
帰りに寄った浪江町役場では、『復興うつくしまYOSAKOI相双まつり』が行なわれていて、多くのチームが迫力のある踊りを魅せていました。
今回も富岡町で宿泊、翌日の浪江での作業に備えました。
2017年12月9日(土)
(了)
◆ Google フォト
https://photos.app.goo.gl/bf5jTDuZuX7k33Uy2