亘理【宮城県亘理郡亘理町吉田砂浜】



どこまでも続く、守りの白い壁の向こうに『鳴き砂』の海岸と青い空。



東北新幹線『やまびこ』に乗り、仙台を目指す。
途中、窓の外に見えた福島の街は、僕が見た福島とは違う、ビルの立ち並ぶ場所だった。
仙台駅から常磐線に乗り換え、『浜吉田(はまよしだ)』まで乗る。

浜吉田駅。
ここが常磐線の仙台からの終点となっている。
2013年3月16日のダイヤ改正からこの駅までの運転が再開された。

ここから相馬駅までは運休中であり、相馬に向かうには、一つ前の亘理駅からの代行バスに乗る必要がある。(浜吉田駅からは代行バスは出ていない。)

線路沿いの道を歩く。



1キロほど歩いた所で、線路は無くなってしまった。
流されてしまったのではなく、撤去したのだ。すでに架線も無い。
もっと内陸側に移設する話があり、路線変更の認可の申請が行われた後、どのような動きとなっているかは知らない。
沿線の道路脇には、移設を反対する看板が立てられていた。



5キロ近く歩き、『山下(やました)駅』に到着。
駅舎は撤去され、現在はトイレのみが残されている。
トイレはここにやってくる人達のために、きれいにされている。


駅の周りには、駅に、がれきを撤去してくれた方達への感謝の黄色い布がたくさん風にはためいていた。

いわき、上野方面を見ると、バラストが無くなり、歪んだレールが残されている。











蔵王の山々にはまだ雪が残っている。
この辺りは浸水範囲内であり、農地はあれからずっと除塩作業が続けられている。
排水路が多いのも、洗った土から出た塩分を流すためだ。

海岸に出たいが、遠くからでも分かるように、ずっと海岸線にそってたくさんの工事車両が動いているのが見える。
海の青色は全く見えない。
おそらく立ち入り禁止にもなっているだろう。
工事現場入り口で海を見たいといった所、通してもらう事ができた。
少し歩くと、現場で休憩をしている人がいたので、挨拶をしてから写真を撮らせて頂いた。
ゴミだらけで危ないから気をつけて、とだけ言われたが、さすがに工事の邪魔をするわけにはいかないので、浜には出ないようにした。



確かにまだゴミ、がれきは多い。
でも、思っていた通りとても綺麗な海が広がっていた。
この海岸線をずっと歩きたい。
またこの海を楽しみにしてやってくるのは、いつの事だろう・・・?

さっき遠くにサーフボードを持って歩いている人達がいたな。
地元の人、それとも工事現場の方達の休憩とか・・・?

仙台方面を見ると、遠くまで白い防波堤の工事が続いている様は、圧巻。

工事現場の方達、ご苦労様です。
海を見させて頂いて、ありがとうございました。


いつまでも海を眺めていた気持ちだが、もう一カ所行きたい場所があるので、浜吉田駅に戻る。

いわきから広野駅までとは状況が違うので比べても仕方ないが、電車の本数は1時間に1本から2本(朝は3本)あるので歩きでも行動はしやすい。

亘理駅。
・・・ってなんだかスゴイ駅名のプレート。
というか、駅が城?!

でも実はこの天守閣風の建物は、『悠里館』という名称で、図書館、郷土資料館、FM放送局などが入っているのだそうな。
駅そのものはこの城の中を通っているわけではないのだ。



駅から少し歩くと、『亘理町公共ゾーン』と呼ばれる場所に仮設住宅がある。
仮設住宅はずいぶん規模が大きい。
仮設住宅の中に『ふるさと復興商店街』があり、ここでお昼ご飯を食べる事にしていたのだ。

宮城県亘理町ふるさと復興商店街

http://fukko-watari.com/


少し遅めの昼ご飯を頂いたところで、大きい地震。
先ほどまで大型トラックが途切れなく続く場所を歩いていた事もあって、最初はその振動かと思ってしまった・・・。
午後2時47分、震度5強。
震源地は福島県沖。
それにしても、『またこの時間』とは・・・。
思わず、『浜風商店街』の事を心配してしまった。

テレビでは津波とはならない事が分かった。
だから、というわけではないのだが、今日最後の目的地『鳥の海』へ。
中央の浮き島『蛭塚(ひるづか)』は工事中。


亘理駅までの歩行時間、電車の時間を考えて、ここから先は行けなかった。
『城』を目指して、歩く。

駅に着くと、電車遅延のお知らせ。
元々電車の本数は少ないから、地震の影響はすぐに落ち着いたかと思ったが、まだ少し残っていたようだ。

仙台駅に戻り、外に出てみた。
この日は『仙台・青葉まつり』でもあったけれど、事前に調べていなかったので会場まで行く余裕は無かった。また来年の楽しみにとっておこう!

宮城県観光PRマスコットキャラクター『むすび丸』。
海苔が丁度ヒゲのように見えるのが、武将らしさと愛嬌があってナイス。

(了)